
昆野 安彦
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私は縦走が苦手で,大雪山では一箇所滞在型である。その一箇所としてよく利用してきたのが白雲岳避難小屋である。この頃は混雑を避けてテントのことが多いが,それでも年に何日かは小屋を利用している。
さて,大雪山の1日というタイトルの文章を書いてみようと思ったが,よく考えてみれば私の大雪山の1日にはいろいろなバリエーションがある。そこでここでは御来光を見る早起きの1日を紹介することにする。舞台はもちろん白雲岳避難小屋である。
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御来光を見る時は2時半頃に起きる。そして前夜荷造りしておいたザックを手にすると,他の人を起こさないように静かに小屋を抜け出す。日の出ポイントまでは30分ほどの道のりだが,凛とした寒気と今日はどんな日の出が見えるだろうという期待で,起き抜けにも関わらず気持ちは高揚する。
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7月だと4時頃に日の出となる。
夏とはいえ,身を刺すような冷たい風の中で壮麗な日の出を見終えると,今度は朝の稜線散歩に向かう。私のお気に入りのコースは小泉岳のあたりで,運がいいと朝の食事に忙しいエゾユキウサギに出会える。
彼らは意外にのんびりしているが,それは私が一人だからで,運悪く団体が傍らを通り過ぎようものなら,途端に姿をくらましてしまう。こんなことから山での行動は一人が一番いいと思っている。
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日の出と朝の散歩を終えて6時ごろに小屋に戻ると,前夜同宿した人たちの多くは次の目的地に向けて小屋を出払った後である。私はこの閑散とした小屋の中での遅い朝食が好きだ。もし日の出を見に行かなかったら,朝の食事は大勢に囲まれての慌しいものになるに違いないからだ。 |
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朝の食事を終えると,今度は小屋の外のテラスでのコーヒータイムだ。大雪山の雪解け水で煎れたコーヒーはこの世で一番おいしいと思っているが,目の前に広がる高根ヶ原の雄大な眺めを楽しみながらのコーヒーは本当に幸せな時間だ。
このコーヒーで全身にやる気がみなぎった7時頃,ようやくその日のメインテーマに着手する。それは花であったり,蝶であったり,あるいはナキウサギの観察であったり。再度小屋を出たあとは午後3時頃まではずっと野外で行動している。
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小屋に戻ると,夕食までの1〜2時間は外のテラスにて少量の酒を楽しむ。定番は度数の高いジンだが,快い疲労とジンが絶妙に絡み合い,これまた最高に幸せなひとときである。
夕食は5時ごろで,7時にはジンの効果もあって早くもシュラフに入る。明日はどんな1日になるだろう――などと考えているうちに寝入ってしまうことが多い。
以上が御来光を見る時の大雪山の1日だが,他のパターンについては,またいつか,別の機会に紹介することにしよう。

大好きなイワウメの花
(大雪山にて,筆者撮影)
一年間にわたって、昆野安彦さん(東北大学助教授)に、大雪山でのフィールド活動について連載していただきました。本当にありがとうございました。これからも、このつうしん紙上や講演会などで、続きのお話をぜひお願いしたいと思っています。
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