>> つうしん


*ナキウサギつうしんの紹介


北海道の南端にあるえりもは、アザラシで有名ですが山の美しさも絶品です。この地域は、日高山脈が南下し、そのままえりも岬から海に没しています。そのため、山々には急峻な斜面と急流があります。かつては急流を遡上するサケが見られました。孵化場が作られてからはサケは上流部までは遡上しませんが、代わりにオショロコマやアメマスの渓流魚がたくさん生息しています。えりも町は、半世紀ほど前、ニシン漁で獲れたニシンを浜で茹でるために大量の地域の木々を伐採しました。そのため毎日のように砂嵐が町を襲い、地域は砂漠化が進み、漁獲量も激減しました。以来、町の人たちは植林事業を精力的に行い、半世紀たってゆかたな漁場が帰ってきたといいます。森が海を作ることを50年以上の実践をもって示しました。ところが、今でも人知れずえりもの上流部では森林の伐採が行われていたのです。
 このような上流部は、道有林として北海道が管理する森林となっています。そして北海道は平成14年3月に、それまでの条例を変えて「木材生産のための皆伐や間伐」を一切行わず、単層林を複層林化して豊かな森つくりをすることにしました。人工林は天然林に、天然林はより豊かな自然林へと森が変わっていくはずでした。野生生物が利用する枯損木や樹洞のある木は優先的に残すことにされていました。私たちは、これで北海道の森の多くは保護され、豊かな森林にクマゲラ、シマフクロウなどの鳥やヒグマ、ナキウサギなどの野生生物が生息する大自然が保護されていくと信じました。特に私たちが問題としているえりもの森は、種の保存法で保護されているワシタカ類も生息地としている上、独立個体群ではないかと言われているナキウサギの一大生息地でもあります。環境省のレッドリストにも登載されているコウモリも多くの種を見ることができます。私たちはこのえりもの森も守られると希望を持ちました。
 しかし、実際には、このような市民の希望は打ち砕かれました。「受光伐」という、下層の木に光を当て、「豊かな森に変える」という名目で、なんと1.5ヘクタールを皆伐してしまったのです。幅60メートル以上、長さ250メートル以上にわたり、一切の木がなくなりました。樹齢を調べると150年前後の大木が多数を占めています。針葉樹が多いのですが広葉樹もたくさんありました。しかもよく調べてみると、このような伐採はいたるところで行われていることが判りました。
また、すぐ近くの道有林では、トドマツの間伐作業をするときに、ナキウサギの生息が確認されていたガレ場を崩して集材路を作っていました。このため、ナキウサギはすめなくなっていました。野生生物のすみかとしての森を守るという北海道の基本姿勢は、現場では無視されているのです。
そこで、私たちは、北海道のこのような森林管理は、自ら定めた条例に違反する違法な行為であるとして住民訴訟を起こしたのです。裁判で、私たちは、野生生物が安心して暮らせる豊かな森つくりこそ必要であることを訴えていくつもりです。
 この新しい森林のあり方を問う裁判、森の公益的価値を守る裁判へのご支援、ご協力をお願いします。

原告&原告代理人
日本環境家連盟(JELF)理事 弁護士 市川守弘
(「自然の権利」ニュースの原稿に補筆)
クマゲラの採餌痕がある木が切られていました。


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