1   エゾナキウサギを国内希少野生動物種に指定することを要望します。


エゾナキウサギについて、主に開発行為を原因として、生息数の著しい減少の恐れ、または生息環境の著しい悪化、生息地の消滅が見られます。

エゾナキウサギの生息数について、明確なデータが無いため、推測にならざるを得ませんが、エゾナキウサギのように特殊な生息環境を必要とする種は絶滅しやすいので、監視が必要であると専門家も警告しています。

私たちは、エゾナキウサギが絶滅し、手遅れとなってしまう前に国内希少野生動物種として指定し、保護されるよう要望致します。


2   然別湖周辺のエゾナキウサギの巣穴周辺の踏み荒らし、餌付けについて、以下のことを要望します。


然別湖周辺はエゾナキウサギの一大生息地ですが、見学者等の過度の入り込みや北海道による調査などにより、エゾナキウサギの生息および生息地に重大な影響を及ぼす恐れがあります。


その1は、ミズゴケなど風穴地に生育する貴重な植物を踏み荒らすことにより、これらを枯 らし、またナキウサギの巣穴を荒らす恐れがあることです。

見学者が入らないような場所においても、いわゆる「士幌高原道路」建設計画に付随する北海道の環境調査で、エゾナキウサギの生息地に大型の機械を搬入する際にコケなどの植物に回復しがたいダメージを与えています。

また、「士幌高原道路」予定地のトンネル出口付近(鹿追町)の町道法面修復工事に際しても、自然保護団体の調査により、エゾナキウサギの食痕が確認された地点であるにもかかわらず、事前に十分な調査もせずに工事を強行しようとしたのです。

これらの北海道の行為は、単なるコケの踏み荒らしを超え、エゾナキウサギの生息環境を悪化し、エゾナキウサギの生息への重大な脅威になっています。


その2は、「餌づけ」です。エゾナキウサギ、シマリス、ネズミ等に対する餌づけが時として公然となされています。

餌づけについては、例えば、ネズミの繁殖によりエゾナキウサギを圧迫すること、人間を通じた病気の感染などの問題が指摘されています。


以上については、国立公園内での問題であることから、環境庁としても、早急に対策をとっていただきたく、お願いします。基本的にはモラルの問題なので、エゾナキウサギの生息地入り口付近にこれらを注意、啓蒙する看板などを立てたり、道の両脇に白線を引くなどの方法を検討願います。

ただし、ロープのための杭を打つ方法などは、地下のナキウサギの巣穴に影響を与える恐れもあることから、方法には格段の配慮をお願いします。

北海道に対しても、エゾナキウサギの生息地近くの工事、調査にあたってはエゾナキウサギに対する影響がないよう、環境庁による指導を強化していただくことを求めます。


3   ナキウサギの輸入販売に対する指導・対策を要望致します。


今年に入って全国的にペットショップで輸入されたナキウサギが販売されています。今年のナンバーワンヒット商品で相当数が輸入されているとのことです。北海道でも、帯広・札幌2店などで売られているのを確認しました。別紙のように新聞でも問題になっています。

ナキウサギについて輸入販売についての法的規制は何もありませんが、専門家によると、販売されているナキウサギの種類が中国などの草原性のナキウサギの場合は、ペスト菌の伝染する危険性があり、また、岩場に住 む種類のナキウサギの場合は、万が一買い主が野生に放したときなどは、エゾナキウサギとの競合を生じ、エゾナキウサギが駆逐される危険性もあるとのことでした。

エゾナキウサギは生息地が極めて限定され、仮に上のような事態が生じたときは、エゾナキウサギに重大な影響があるものと思われます。輸入・販売業者に対する行政指導を早急に検討されるよう要望致します。

←TOP     |     1997年へ     |     活動日誌一覧へ