エゾナキウサギの「餌付け」、「やらせ」等問題の解決を求める要望ならびに意見書

私たちは、1995年の設立以来、エゾナキウサギの天然記念物への指定、絶滅危惧種への指定を目指して活動している団体(現在会員数2371名)です。

現在、エゾナキウサギの保護をめぐってさまざまな問題が発生しています。特に解決が急がれることは、生息地での「餌付け」及び「やらせ」という行為が横行している問題です。ナキウサギホームページ伝言板などにも多くの情報が寄せられています。

たとえば然別湖周辺におけるナキウサギ生息地では、リスやナキウサギを撮影するためにナッツや果物などを岩場に置いたり、その岩場に本来存在しない草花をおいてナキウサギの背景に使うなどの行為が平然と行われています。

また、北海道各地の国立公園と思われる一部の施設などにおいて野生動物への餌付けにひまわりの種などを観光客に渡しているような現状が見受けられます。

餌付けの問題は野生生物の保護を考える上で、生態系のバランスを崩す、病気の伝播、人間の生活圏への進入などの極めて重要な問題です。野生動物を野生でなくしてしまうという意味で、一種の自然破壊になると考えられます。(別添:帯広畜産大学教授 小野山敬一氏「エゾナキウサギの保護と現状と問題」(北方林業 1996年 Vol.48 No.2)及び教育大講師小島望氏ふぁんくらぶ会報)

「やらせ」は、そこに自生していない植物を持ち込むことによって生態系を変える恐れがあります。また、国立公園特別地域では木竹を伐採したり指定植物の採取や損傷をすること、特別保護地区で木竹の伐採、損傷、植栽、及び木竹以外の植物の採取、損傷、又は落ち葉、落ち枝の採取をすることは自然公園法で違法とされています。やらせはこうした行為に該当することが多いでしょう。

かねてからナキウサギふぁんくらぶで独自に、「イエローカード」(別添:簡単な注意書)を作り岩場で配布したり、1997年3月25日には環境庁に要望書を提出するなど、この問題に取り組んできました。

そこで、ナキウサギふぁんくらぶではこれらの問題の解決を図るため有効な措置を早急にとっていただきたく、下記のように要望いたします。あわせて意見も添えさせていただきます。



1   国立公園においては、野生動物に対する「餌付け」を一切禁止する(違法)。

アメリカの国立公園では野生動物に餌を与えることは違法とされている(別添;写真)。ヒグマと人間のトラブルを防ぎヒグマを保護するためにもこうしたルールの確立は不可欠であると考える。

2   国立公園における「特別地域」「特別保護地域」の「範囲」と「禁止事項」をリーフレットや立て札によって明示。

一般国民にわかりやすく明示し、「普通地域」でも人為的自然改変をしないように啓蒙し、「やらせ」を防止する。これは植物の盗掘や採取一般を防止するのにも必要なことである。

3   国立公園の中の登山道入り口や人間と野生動物が触れ合う可能性がある場所には、餌付けややらせの問題点をわかりやすく説明したリーフレットの配布や立て札の設置。

ただし、それらの配布や設置が希少動物の具体的な生息地をあきらかにすることにつながり、圧迫を招くことへの配慮はして欲しい。

4   国立公園内における施設での「餌付け」が行われているところへは、中止するよう指導をすること。

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