私たちはエゾナキウサギの保護活動をしているグループです(創立1995年。現在会員は全国に約2390名)。

現在、大雪山国立公園の南端に接する陸上自衛隊然別演習場において大砲等の実弾射撃訓練が連日行われています。大砲による騒音、振動はエゾナキウサギの子育てに重大な悪影響を与えるものと考えられるため、少なくともナキウサギの繁殖期である4月から8月の間は一切中止し、それ以外の季節でも着弾地をできるだけ国立公園から遠ざけることを要望します。

理由

1   エゾナキウサギは日本では北海道だけに生息しています。氷河期に大陸より渡ってきて氷河期の終わったあとも大雪山系、日高山系、北見山系など涼しい山岳地帯に生き残りました。このためその独特な生態も含めて、学術的にもたいへん貴重な動物です。

2   エゾナキウサギの交尾期は4月から6月、出産は5月中旬から8月上旬です。子どもが地上に出てくるまでには一ヶ月ほどかかります。従って、4月から8月の期間は、妊娠したメスや生まれたばかりの子どもにストレスを与えないような配慮が必要です。

3   ナキウサギが騒音、振動の影響を受けやすく、多大な影響を受けうることは研究者も指摘しているところです(小野山敬一「エゾナキウサギの保護と問題」(「北方林業」1996)、小島望「然別湖畔トンネル建設後のエゾナキウサギの消滅」(「野生生物の保護」1999)。実際に道路やダムの建設工事や道路の交通量の増加によってナキウサギが生息範囲を後退させたり、個体群が消失した例はいくつもあります(前掲・小野山、前掲小島、芳賀良一「裏大雪からの告発―ある観光道路開発―。北の山脈」1972、その他)。

4   5月25日、然別演習場に隣接する山の頂上及び中腹で私たちグループのメンバー3人がそのドーンという凄まじい音とビリビリと全身に響く振動に体験し憤懣やる方ない気持ちにさせられました。人間にも耐え難いほどの騒音と振動が、体長わずか15センチメートルのナキウサギにどれほどのストレスを与えるか、想像を絶するものがあります。

5   本演習地が、野生動物が豊かに生息し原生自然が残る大雪山国立公園内に隣接していることを考えると、演習にあたっては自然への影響を最小限にする努力が求められます。

なお、この要望内容はすでに5月26日に帯広駐屯地職務司令室に口頭で伝えてあります。すみやかにご検討のうえ国民の納得いく内容のご回答をいただきたいと考えます。

←TOP     |     2003年へ     |     活動日誌一覧へ