現在進められている道道上武利丸瀬布線特対工事において、北海道がナキウサギ調査を行った上で、ナキウサギ生息環境に及ぼす影響が少ない工法を検討されていることに、敬意を表します。

本件道道沿いのナキウサギ生息地は、今年度の北海道の調査によっても多くの生息痕跡が確認され、ナキウサギ生息地として良好な斜面であることが明らかとなりました。

私たちの調査とも合わせると、生息地の位置、標高、自然環境、生息状況などから、ナキウサギの保全にとって非常に重要な生息地だと考えます。

 ナキウサギ保護の見地からは、生息地に近い場所での道路工事はできる限り避けるべきであることは言うまでもありません。

そのためには、本件道路は通行禁止にした上で、他の道路の使用を推奨することが最も望ましい対応です。従来、本件道路の通行車両数は多くはないので、そのような対応も可能でしょう。そのためには、本件道路は通行禁止にした上で、他の道路の使用を推奨することが最も望ましい対応です。従来、本件道路の通行車両数は多くはないので、そのような対応も可能でしょう。

そして、生息地の近くまでは車両による通行を可能にした上で、ナキウサギ生息地の周りに「自然散策路」を設け、市民が歩いて周辺の環境やナキウサギの生息環境に触れる場として位置付けることが、地域の自然環境の保全及び観光振興策としても望ましいと考えます。このような自然観察の場は、丸瀬布温泉の存在等とあいまって、丸瀬布の豊かな自然をアピールすることになるでしょう。

しかしながら、北海道によると、丸瀬布温泉やキャンプ場利用客、林業関係、養蜂業関係、武利岳登山者等の利用の要望が高く、本件道路を通行止めにすると帯広方面からの利用者にとっては、距離にして56km、時間にして84分の増加となるため、町としても本件道路の再開通を強く要望しているとのことです。(ただし、私たちの調査では留辺蘂・北見へ抜ける林道が2本存在しています。)

また、現在、北海道が設置工事を検討している「落石防護柵」は、道路沿いに3メートル間隔に高さ3〜5mの支柱を立て、3.2oの径の鋼線による5cm×5cmの網目ののネットを張り巡らせるもので、工法、工事期間等において、可能な限りナキウサギへの影響を少なくすることが配慮されています。

ナキウサギ生息地における工事が実施される以上、これらの対策をとったとしてもナキウサギ保護のためにはベストの方策とはいえないことは確かです。

しかし、既存道路の閉鎖が地元に及ぼす影響その他を考慮すると、本件工事もやむを得ないとも判断されます。そして、ナキウサギ生息地に係る建設工事のあり方として、本件における北海道の姿勢は高く評価することができます。

以上より、「落石防護柵」の設置もやむなしと判断するに至りました。今後は、工事にあたって、工事の時期、態様において、ナキウサギ保護に留意して進められることを強く要望するものです。そして、私たちとしても今後、工事がナキウサギに及ぼす影響について適宜チェックさせていただく所存です。




各地のナキウサギ生息地が、気がつかない内に道路建設や森林伐採で消滅したり大きな影響を受けることが多い中で、本道道に関しては北海道(オホーツク総合振興局網走建設部遠軽出張所)がナキウサギについて行政としては大きな配慮を払う姿勢があります。本当は、工事は一切してほしくないのですが、もともと地元が利用していた道路であり、通行者の安全を考えると、このような工事もやむなしと判断いたしました。悩んだ上での判断でした。    (ふぁんくらぶ)

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